文化・芸術

2014年12月 4日 (木)

自由と型

 もう10年ほども以前のこと、あるところで当時評判を呼んでいたドラマにこと寄せて、若者の束縛からの自由とその抑制に関わる議論が展開したことがあった。「自由」というひとりの話題提供者の提出したことばに敏感に反応したある話者が、「新自由主義批判」の立場からドラマのテーマは「記憶」であって、自由などという陳腐な概念を持ち出すことは間違っていると喰い下がった。今年のノーベル文学賞の対象となった作家と作品の「記憶」が人を辛うじて支えているおぼつかなさがこのドラマに与えた影響について、改めて言及された。

 たしかに自由は型が人々の関係と生活のありかたに行き渡っているところで問題として浮上する。そして、この型の喪失下では過去にあったと想定される型の記憶が人々の存在のよすがとされる。しかしその問題と、人々が型からの解放を目指した時代とその歩みの記憶を喪失することはまた別の問題である。
 このときのいささか不毛とも見えた議論を思い出すにつけ、「キーワード」によって対象を分断する検索文化の進行をそれが先取りしていたことに思い至る。

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2014年9月 7日 (日)

Agota Kristof ハンガリー出身のフランス作家

アゴタ・クリストフ 1935-2011

政情厳しいハンガリーから家族で逃れ、西ヨーロッパへ。
フランス語圏のスイスに在住して生活のために不自由なフランス語で小説を書きました。フランス語で書いたという理由でフランス作家。
ぎこちない文体が、超現実的な世界を創出します。
日本語への翻訳では「悪童物語」「昨日」「第3の証言」など。
フランス語版も手に入りそうです。
母語で過ごすことのできない異境の生活の不幸から最後まで解き放たれることはなかったようです。

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2014年9月 5日 (金)

翼を広げるとき

フランス映画 Le temps des porte-plumes を見ました。

2006年公開。
時は1954年。9歳の少年が訳あって農家の夫婦にもらわれてくる。
筋立ても、意味もつかむのが難しい。
9歳という年齢のこどもを理解することが難しいためかもしれません。
こども自身から見ても。
若い人びとに、しかし、わかりにくさをそのままに見てもらえたらと思います。
日本での紹介はまだですね。
フランス語版は入手できるかもしれません。

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